なぜ動画評点サイトができないか

ニコニコ動画youtubeをよく見ている人なら、大きな動画評点サイトでもあれば便利だなぁ、と思ったことはないだろうか。ニコニコの要望掲示板にもそのような要望はあったし、以前の私のエントリでも、そういう評価サイトなど、再生、コメント数とは別の尺度があれば便利では?みたいな事を書いた。ランキング検索やタグも便利だが、もっとこうユーザの評価や作品の属性などが点数表示されているようなサイトがあれば、動画もより整理されていいんじゃないかと。
しかし、いくつかの重要な視点を見落としていることにふと気づいた。
今Web上の商品批評サイトとしては、価格comやAmazonなどが代表的だろう。ユーザがその商品の満足度や機能を評価し、感想やレビューを載せ、さらに言いたいことがあれば個別の問題ごとに問題点などを書いていく。これらの情報はおおいに商品購入の参考にもなるし、うまくユーザの声を利用したCGM戦略の成功例ということができるだろう。
しかし、動画評点サイトに関しては、このシステムをそのまま適用してもいろいろうまくいかないだろう。近いイメージとしては、エロゲー批評空間というサイトに見られるような、ユーザがつけた点数や属性の評価+レビューを蓄積する形で、一つのデータベースとしていくもの。これだと、旬の過ぎた動画でも容易に検索できるし、自分の好きな尺度でより自由な動画検索が可能になるだろう。
実際こういったサイトが今後登場する可能性は十分ある。軌道に乗ればそのまま一つのビジネスにもなりそうだし。しかし、もし本当にできたなら、いくつか問題が出てくる可能性があるなぁ、と思うようになった。
その中でも最大は、著作権の問題。本にしろ、価格コムの商品にしろ、エロゲにしろ、これらは商用である。製作者はプロであり、当然、金銭的な部分や著作権などの部分がクリーンである。
一方、youtubeニコニコ動画の隆盛の源泉の一つとなっているのは、いわゆる素人の投稿による動画作品である。著作権的にグレー(もしくは真っ黒)なものも少なくない。これらの動画がもし目に見える形でわかりやすく検索できてしまったら、ユーザにとっていいように見えて、実は権利者によって、著作権侵害が起こっていないかを調べる格好の監視場所とされてしまう可能性がある。
今までの動画作品全体が俯瞰しにくく、検索がしにくい今の状況であるからこそ、削除されない動画もある。動画視聴ユーザにとっては、わかりやすく透明性のある動画検索よりも、好きな動画が権利者によって消されたり、そういうグレーな作品が出てこなくなるほうが悲しいだろう。Webにおいては楽しさこそが最重要の尺度なのだから。
だからあえてそういうシステムができていないのかな、と。今のままでもそれなりにうまく回っているし、何事もより便利にすればいいというものではないなー。
あと、更新性や工作の問題もあるが、ま、それは利用ユーザによる自由入力に任せていけば問題ないと思う。それなりにうまく回るだろう。動画の評価に対する議論やフレーム戦は絶えないサイトとなりそうだが、それも賑わいとしてみればいい。

youtubeニコニコ動画などの動画サイトがWebを席巻して久しい。今まで数多くの動画作品がWeb上に投稿された。動画のジャンルやネタにも旬があり、すでに過去のものとして見られなくなっているものも多い。なかには、隠れた名作、もっと評価されるべき良作もたくさんあるだろう。それらの作品にも日を当てるシステムとして、過去作品のデータベースを、視聴ユーザが構築する形でできればいいなと思った。しかし、そういったサイトができることが視聴者にとって本当にいいことなのかがわからなくなってきた。どれくらいニーズがあるのかも未知数だし。あれば便利であるか?と聞かれれば、便利だ!とははっきり言えるが。
今後、動画評点サイトはできてくるだろうか。おそらくできるだろう、やがては。いつになるかはわからないが。その時にまた、こういった問題が真剣に議論されることとなるだろう。

追記:ニコニコランキングジェネレータすごいな・・・タグを洗練する形で、動画の整理が進んでいく方向性のほうが、今は強いな。