Webの年表ができたらいいなあ

日夜多くの人々がWebを利用している。互いの意見交換などによるコミュニケーションといった有意義なものがある一方、いがみ合いもまた同程度に多い。理由として、生まれ育った価値観の違いもさることながら、Webにおいてある人は当然と思えることが、ある人にとっては当然でないことによるいがみ合いがある。
Webと現実の生活における「常識」は、似た所もあるが、微妙に違う部分もある。Web独特の空気というか。現実生活を送っていて知っておくべき当然の話題というものがある一方、Webにおいて当然の話題となっているものは少し違う。よって、そこから生まれてきた「常識」も少し違いがあると思われる。
Webの情報をどれくらい知っているかは、Webの滞在時間に準じることは確かだ。しかし、Webをどれくらい利用するかどうかなどということは基本的に各個人の自由で、そこに大きな差が生じている。ある人が知っていて当然と思えることを、別のWebユーザは知らない。知らないのだから、知っている人からすれば無分別と思われる行動や発言をすることが多く、それが他の誰かを刺激する。Webは滞在時間レベルごとにユーザが分かれているわけではないので、どうしても「知っているかどうか」によるいがみ合いが起きるのではないかと思う。
たとえばニコニコ動画ニコニコ動画のサービス内でどの動画を見ているか、またはまだ見ていないかによって、別の動画を評価する基準などが大きく変わり得る。ある人が投稿された新作を見、おお、こういうのははじめてみた、すばらしいと思う。別の人は、おお、絵がうまくなったなあ、とその作者の前作を知っている人は思う。また別の人は、この作品は最近の流れに便乗した作品だな、と思う。また様々な動画を見ているヘビーユーザは、またコレ系か、もういい加減見飽きた、と思うわけである。そういった人々がコメントを書くと、こいつアホか、と思えるコメントもあれば、言っている意味がわからんwというコメントもあるわけである。まあ、ニコニコ動画においては、それでいいのかもしれない。(それによって荒らしや喧嘩の一因となることはあるにせよ、それをも包含した形でサービスが活況を呈する部分があるため)
まあ、情報やコンテンツが、色々な人によって色々な受け取り方があるのは当然だ。これはブログにもいえることで、たとえば今私が書いているような内容を、どこか以前他で見た人は、ああまたこの内容か、しかも中身が薄いな、と評価したり、パクリ乙、と思ったりするわけである(まあ、ふと思った内容を書いているだけなんですが)。しかし別の人は、過去こういう文章を見たことがなく、ああ、こういう考えがあるのだな、と新たな情報を得た形になるかもしれない。Webという膨大な情報集合の中では、情報といえども一つの縁、出会いであり、巡りあわせと運によるものであると思う。
Webは自由であるがゆえに、情報を知っているか知らないか、Webの常識ともいえることを知っているか、知らないかによって、摩擦が起きることがままある。典型的なのは、知っているものが知らない人を蔑んだりするような風景は、Webでは日常茶飯事である。出直して来いとも言わんばかりのコメントも多い。まあ議論などフレーム戦をする上において、相手をバカにするのも一つの戦術であり、わざと恣意的に情報を解釈することにより、論点を見つけていくなどという行動も良く見られる。ただ、生産的とは思えない論争によって水掛け論や消耗戦になっているやりあいも多い(一方の側はそれが狙いとしてやっているのかもしれないが。)もっと建設的な議論をし、ののしり合いではなく話が深まっていくような展開にもっていくといいなあと思う場面に出くわしたことは数ある。
で。その原因がWebの滞在時間による「情報」の差によって生じる部分があるのなら、いわゆるWebの常識というものを一所に情報データベースとして共有できるような形にはならないだろうか、なんてことを思う。Wikipediaとは少し違った、Webの壮大な年表のようなものですね。同時系列に書き込む出来事は比較にならないほど多いが。
思うに、Webで出会いやすい情報とは、2/23にWebに触れたら、得られるのは2/23付近に更新された情報であり、過去の情報は得られないことは多い。いや、Webという世界にいる以上、アクセスはできるのだが、そこまで行き着き得ない。要は、誰も紹介してないし、リンクが張られていないのですな。毎日Webをしている人は、連続的な出来事として情報を受け取っているので、それでいいとは思うが、全員がそういうユーザばかりではない。そうでない人の方が多いだろう。まあ、ぶっちゃけヒマじゃないと、ゆっくりWeb巡回とかなかなかしんどい。だから、過去のある地点における情報などを、今と同程度でなくてもいい、簡易的なものでもいいから、提供してくれるようなサイトやツール、もしくはデータベースもとい年表などがあるといいのかなと。そこにアクセスすれば、自分がWebにいなかった時間に、Webに何が起こっていたかを、大まかに見わたすことができる。そんな場所がほしい。それによってWebの滞在時間差におけ情報格差は減り、互いが当然のことを知っているか知らないかによる不毛なやり取りが少しはなくなるのではないか・・・などと思うのである。
問題は、そんなの誰が作るんだ?ということと、ニーズあるか?ということである。絶対的なニーズがあれば誰かがやっているはずなので、ニーズが微妙なのか、それともやるだけの価値がないのか。労力の割には報われなさそうだからなあ。wikiという形でみんなでやろうという手もあるが、今度は信用性や恣意的な更新などという問題が生じてくる。
そこまでみんな気にしていないかな、そんなこと・・・。だんだん自信がなくなってきた。そんなんどうだっていいという意見が聞こえてきそうだ。そういったデータベースの存在を仮定する限りにおいては、その有用性は結構あるとは思いますけどね・・・。Web年表、誰か作らないかな。