動画作者の顔が見えるか

本屋で、ネトランの動画ノミネート特集を読んでいて思ったことだが、動画投稿者からのコメントはほとんどない。まぁ、基本的に連絡がとる手段ないしなぁ。どっかで活動していたり、メールアドレスでも公開してない限り。
豚丼騒動の時は、確かニコニコチャートから辿って行って他に投稿している動画などから調査されたようだが。まぁそれでも、実写動画ならともかく、動画のコメントなどや投稿内容に手がかりを残していない限り、基本的に作者にたどり着くことは出来ない。作者自身が自ら出てこなければ、「作者は誰か」は最後までわからないだろう。それができるとしたら、メルアド情報持ってる運営くらいか。作品の商用化などの際に、これらの連絡先を役立てているのだろう。
まぁ、動画によっては作者が前面に出てきているものや、積極的にWebのどこかで活動している方も少なくない。アイマス系動画の作者も結構ブログなどを持たれているようだ。彼らは作品と作者をリンクさせ、いい動画を発表したらそこにアクセスが増える、などという形で、何らかのフィードバックがある(のだろう、推測)。だが匿名のまま投稿すると、その作品がそのまま独立したような状態になる。ポイっとWeb上に放りなげて、そのまま放置するイメージ。
人によっては、そういった作者情報を明らかにすると色々と不都合なことが起こり得るため、そっと匿名で投稿しているということはあるかもしれない。プロの方などは、遊び心で作った作品はそれはそれで投稿してしまい、そこから名声を得る、などということはあくまでも考えていないのだろう。そもそも作る動機が「面白そうだから」、からはじまったのであったなら。
あと、作者が出てくることによって、批判を浴びるケースもある。世の中は何に関しても100%のコンセンサスを得られることは難しく、作者が顔を出して何か意見を言うことで、ユーザの要望や批判が作者に集中するということが考えられる。もちろんそういう事をなんとも思わない、という人もいるが、一方で非常に苦にする人もいる。過去のアップ動画を見ていても、ユーザ批判によって作者が(´・ω・`)となり、一番残念なケースでは、そのまま動画を削除してしまうことも起こっている。ニコニコ動画のコメントの傾向として、紳士的か、辛辣か、というと、辛辣であるため、作者はそういった批判の標的にされることを嫌がり、顔を出さないということはあるだろう。そういった情報があると、わざわざ批判言いに行ったりメール送ったりする人もいるから。
そんなわけで、現在のような、投稿された動画の大半の作者がわからないという状況ががある。作者も、一視聴者として見守る形の方が望ましいのかな、と思う一方で、何か残念な気もする。何が残念なのか、自分も正直よくわかっていないが。
また、不思議な気もする。さまざまなコンテンツ産業において、必死に各々の企業や個人が著作権などを守ろうとしていく中で、ニコニコ動画の中で起こっていることは、すすんでそういった「作った権利」を手放すという、いわば真逆のことが起こっているわけだ。しかも玉石混合とはいえ、相当たくさんの作品が世に出ている。このパワーは単純にすごいと思う。人間は、ルールとアーキテクチャによって、これほど真逆の行動を取り得、これほど違う結果がでてくるのか、ということを、思った。
ルール作りやサービス、アーキテクチャを考えていく上で、調べ、基準にすべき大切なことは、利益をどうあげるかということの前に、人がどう考え、どう思い、どう行動するか、についてよく考える必要があるのかもしれない。