202X年のニコニコ動画

長いスパンで、ニコニコ動画というサービスを捉えてみる。
ニコニコ動画というサービスは、Webの歴史に必要ではあったが、10年早かったサービスだったのかもしれない。MADなどの著作権問題や広告、コンテンツビジネスで次々と難しい問題が起こっているのを見て、ふとそう思った。
ニコニコ動画のよいところもを見、興味を示しているのは、10代〜30代中心である。今、彼らがニコニコ動画のよさを訴えても、結局最後に広告費などの決定権を持っているのは、もっと上の世代が多いため、まずどんなものかを説明するところから始まってしまう。そして、説明もむなしく、従来のTVCMによる広告戦略をとり、著作権はもちろん厳しく取り締まる。社のコンテンツ無断使用は会社のイメージを損なう恐れがあるので、もちろんダメ。見つけたら即刻削除を求める。
だが、今ニコニコ動画を見ている10代〜30代中心の世代が管理職までいき、広告やCGM戦略に関する決定権を持つようになれば、ニコニコ動画でもてはやされているようなコンテンツ・広告戦略への理解も大きく変わりそうではある。彼らは、かつてニコニコ動画などを見て、一般の人々の起こすエネルギーというものが決して金を投資する価値がないものではないということをイメージとしてもっている。世代が変われば、今、支配的となっている著作権や広告に関する考え方や雰囲気も、根本から変わっていくのかもしれない。



202X年、ある会社での一幕。
新入社員が、会社の重役なども交えて、プレゼンテーションを行っている。

新「今年から、わが社のイメージキャラクターは、この『バグタン』でいきたいと思います!」
重「( ゚Å゚)ホゥ・・それはまた奇抜な風体だね・・・なんだかひ弱そうだが。わが社のイメージに合うのかね」
新「いえ、そこがいいんです!このつぶらな瞳の助けて視線が多くの人々を癒すはずです。また、このキャラクターは、人々の創作意欲を利用した広告効果も狙っています。このキャラクターは悲しいストーリーも持っており、お披露目と同時に、Web上に、あらかじめ用意してあるショート動画コンテンツやCGを大量にアップします。それにより、多くの一般クリエイターの意欲を刺激し、それらのコンテンツを編集したさまざまな動画が作られるはずです。これらはすべて、会社のイメージ広告として大きく広がっていくのです!」
重「ふむ・・・。(ニコニコ動画youtubeなど、かつてのサービスに思いをはせ、そういったエネルギーが決して小さくないことを肌身で感じている)わかった!それによって効率よく広告効果が得られるのであれば、すばらしいことだ。予算は十分つけるから、君の思うようにやってみたまえ。」
新「あ、ありがとうございます!」

世代の移り変わりはやがて、人々の感覚、常識さえも変えていく。TVCMなどは、費用対効果のあいまいな化石のような存在として、やがて見向きもされなくなるかもしれない。
まあ、早くてもそんな世界が訪れるのは10年ぐらい後になりますが。2020年ごろには、世界のあり方だけではなく、人々の広告や購買行動そのものが大きく変わっているかもしれません。



重「あ、あと、ジャスラックへの登録は済んだのかね?」
新「(°Д°)ハァ?そんなことをしたらコンテンツ使用許可とか著作権とか面倒になるじゃないですか。誰もそんなキャラクター使いませんよ。コンテンツがどこで使われようと、それは間接的に、わが社の広告になっているんです。それに、わが社のオープンな空気にもそぐいません。わざわざそんな中間搾取団体に金を払う意味がありません。」
重「・・・わかった。確かにそのとおりだ。で、まずは、何からはじめるのかね?」
新「もちろん、まずは動画サイトに広告を出してもらえるよう枠をとりにいきます!そうしないと、まずクリエイターの人々にもわが社の存在とキャラクターを知ってもらえませんからね!同時に、HPでのキャラクターコンテンツの拡充、キャラクターショーのイベント、限定グッズの販売などの下準備を進めていきます。やることは山ほどあります!」