ニコニコ動画のコメントを流す意味

コメント論が一段落ついたし、コメントの特性を簡単にまとめてみよう。
まず、ニコニコ動画のようなコメントの流し方はコメントを増幅させる効果があると思われる。
ニコニコ動画って再生やコメント数が伸びていない時でもコメント多いなって思わないだろうか。他のサービスでコメントが同数ついてるものと比べた場合。
要はコメントを何度も使いまわしているわけです。コメントという賑わいをもたらす資源をうまく使っているといえる。コメント効率がいいということは、コメントの価値が大きいということにもつながり、コメントの影響力も大きいと見ることができる。
炎ジョイを覚えているだろうか。(覚えていない方はこちらをどうぞ)コメントをサイトに流して炎上を支援する(?)という売込みだった。あれはニコニコ動画と違っていわゆるタイムコードなどはないが、ボーっとみているだけでコメントが次から次へと流れていく。ほっとくと全てのコメントが目に入るわけである。
なんというか、2chをはじめとする従来の掲示板は、一つ一つ興味を持ったところを見ていくという意味で能動的に見ていくものだとすれば、コメントを流すようなサービスは受動的に見せているということができる。例えるならテレビのようなものか。
後、ttp://2ch.まとめ.gaasuu.com/などもコメントを流している。これらも少ない意見や感想などのコメントの有効な使い方といえるだろう。
もう一つの視点は、従来の時系列で並んだ掲示板などのサービスは、良くも悪くもユーザの能動的な行動が求められた。興味ある人は見に行く。ない人は最新しか見ない、という形のような。それはそれでもっともな仕組みだとは思う。しかし、Webという世界は「能動的に動く」ことがけっこう疲れる。例えば、あなたがもし興味があるなにかの出来事についてどんどんみていきたいと思ったとしても、まぁ20サイトもまわれば疲労感を感じてくるはずである。Webの今のあり方は、なんでもあるが、向こうから手をさしのべて来てくれるわけではないのだ。あくまで能動的な行動によって世界は開かれてくる。
そうすると結局何が起こるか。能動的な行動をとる少数の人が興味があいまってまとめサイト開設し、そこまでの能動的コストを払いたくない人たちがそういったまとめサイトやニュースサイトにアクセスをする、という構図となっている。
で。見てもらう側もですね、ぶっちゃけ見てほしいわけですよ。できることなら。アクセスはサイトの価値を決めますからね。そこで何が生まれるか。よりユーザが楽に、能動的コストを払わずとも見ていけるような、ユーザビリティに富んだアーキテクチャが生まれる。より効率的に、より楽にWebを一望するために、ユーザの能動的な行動に期待するのではなく、ユーザが楽できるような仕組みが、現在進行形で増えていっていると思う。そういったサービスは挙げたらキリはないが、まぁRSSとかreaderとアンテナとか色々。
まとめると、ニコニコ動画の「コメントを流す」というアーキテクチャは、そういった二つの流れを汲んでいるように思う。

  • 少ないコメントでサイトを盛り上げる「増幅効果」
  • よりユーザが楽に見られるユーザビリティの向上

最後に。これから調べる予定でいるのは、コメントの増幅効果についてである。増幅は正の力に働けばサイトのアクセス増と盛り上がりに貢献するが、負の方向に働くと、サイトの大炎上にもつながる可能性がある。炎ジョイのコメントを流す仕組みも、倫理面を置いておくならば、炎上を支援するという意味では優秀なアーキテクチャなのかもしれない。コメント増幅効果は、少数の声を荒げる人のコメントをより目立ち、影響を与えるものとしてしまう。特にニコニコ動画の場合匿名制かつコメント投稿無制限であるため、例え一人の不満者がいても本気になれば一大騒動に発展する可能性がある。
某動画のように、一人(少数?)がコメントしまくった動画でも、一位になってるからなぁ。個人といえども侮れない。便乗する人もいるだろうし。