Webでの自由と責任感(2) 準匿名とWeb上の注目

(1)の続き。準匿名とは、その人の名前や身分などの社会手がかりはないものの、実際にはその人の身元を確かめられる状態である。Webで何かを表現するということは少なからずその人の手がかりを残していくことである。発言内容からその人となりを推測できることは結構ある。豚丼問題では、もともと吉野家という場所が移っていたことが結局手がかりとなり、内部調査で\(^o^)/となった。また、あの動画を関係者が見れば、ほかにもわかる情報があるだろう。
また、犯罪に結びつく発言や行動は、警察の方で問題視されたり、個人が裁判所に訴えて仮処分としてとりあえず勝訴すると、プロバイダ責任法に基づいてログの提出をサイト管理者およびプロバイダに求めることができる。ニコニコ動画2chでも・・・できるはず。まずサイト管理者にそのユーザのアクセス時刻とどこのプロバイダからのアクセスかを調べてもらう。次にそのプロバイダに連絡し、こういった判決が出たので(または捜査に必要なので)このサイトに○時×分にアクセスしたユーザの住所氏名の開示を求める。これで匿名だと思って不用意な書き込みをしていた人は一応\(^o^)/となる。匿名じゃない。
そんな面倒な手続きはしないだろうという考え方もあるだろう。「合理的」に考えると、別に賠償金が取れるほどの事件なんて稀だし、わざわざそんなことをする人なんていないと思うかもしれない。しかし人間の一つの優秀な行動戦略として、しっぺ返し戦略がある。自分に不利益を与える存在に対しては、損得を度外視して全力で報復または対抗措置に出る。それによって他のユーザから恐れさせ、自分への不利益をもたらすものをなくすというものである。この論理に従うと訴えられることは十分あり得る。人にマジで恨まれるということは実はとても恐いことですからね・・・。
つまり、Webで氏名などの情報を出していなくとも、普通に家から、またはネカフェでも、発言内容やアクセスログなどから特定されることは十分あり得ることなのである。見合ったものがないから誰もしないだけで。それは完全に匿名とはいえないと思うため、準匿名という言い方をした。
本当に犯罪や違法行為をWeb上でしようとすると、いわゆるアシのつかないやり方が求められる。アクセスをたどられても途中で情報が途切れてしまうようなやり方。プロキシを介してであったり、不特定多数の人が使えるPCでかつ身分などを詐称するなど。こういう状態は完全匿名に近いといえるであろう。Web上の発言や行動に対し、自分まで火の粉が飛んでこないので。
ここで実際に起こりそうな事件の一例を挙げてみよう。ニコニコ動画に特定の団体の名誉を毀損する動画が投稿されたとする。そしてその団体がそれに対し訴えたとしよう。動画投稿者がプレミアムユーザだったらまずニコニコ動画にクレジットなどの個人情報を渡しているので\(^o^)/であろう。もしそういった手がかりがなかったとしたら、裁判で仮処分→サイト管理者にログ開示→プロバイダに身元開示、といった形で割り出される可能性はあるだろう。
ニコニコ動画はアングラなサイトではなく、社会的に見てもメジャーなサイトである(と思う。若干ニッチかもしれないが)。動画内容が社会に及ぼす影響は既に大きなものとなっているため(吉野家やケンタッキーが動いたのも、ひとえに無視できないほどの信用の損失、売り上げの影響があると考えたからであろう)、それを十分に認識せずに動画を投稿してしまうと、まぁ、・・・な結果となってしまうわけである。
多くの人に見られることはそれだけで価値がある。サイトでもなんでもそうだ。いわゆるスポットライトを浴びた状態である。それは大きなチャンスであり、同時に細心の注意を払わなければならない。どこの誰が見ているかわからないのだから。見ている人がどう思うかについての想像も十分にしておく必要があるだろう。
私は痛いニュースをよく見る。この内容を見ていても思うように、そういった社会的な影響や見ているユーザに対する想像の欠如が、今日も様々な場所で話題を呼んでいる。
とは、いいつつも。平凡な話題や動画は誰も見ないし、面白くない。そういったグレーな話や動画だからこそ逆に刺激があり、アクセスを呼ぶことはよくある。はてなでも、炎上なのか話題を呼んでいるのかわからないような話題がよく上位にのぼっている。
書き手が意識的にか無意識にかそこらへんはわからないが、見ているユーザを挑発するかのような書き口でコメントを呼び、多くのアクセスを得る手法はWebではもはや日常的となっている。そういうギャーギャーやっている話題のほうが、人は興味を持つのだ。なんかワカランが話題になっているらしい、見に行こうというような。ヤジ馬みたいなものである。ニコニコ動画も、工作かどうかそこらへんはわからないが、クオリティの高い動画と同じくらいの頻度で、刺激的な内容(論議を呼ぶ内容)の動画が上位に来る。
だからギリギリな内容の動画やブログはこれからも増え続けるだろうし、それをアウトとして名誉毀損などで訴える団体もあるだろう。その時に自分がどれくらい安全か。匿名だから火の粉が及ばないなどと考えると、今回の騒動みたいに、とんでもないことになってしまうわけである。意外と、Webは匿名じゃないのだ。

次はWeb上の心理について書くかもしれない。

本日の時報感想:上垣内正信さんって誰だ・・・wニコニコでおコメを売るとは斬新?まぁ、注目は集まるだろうな。今頃、サイトのアクセス数はとんでもないことになっていることであろう。Web上の注目は、時に限りない価値を持つ。























ウェブは資本主義を超える

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