超えがたい相手を前にして

すでに気付きつつも、自分の中でごまかしている部分がある。
ああ、こいつは超えられないなって気持ちを持つことだ。
俺がこの先結構頑張ったとしても、俺のスタンス自体を変えない限り、こいつは超えられないなと。モノが違うと。能力が違うと感じる。どういう血筋と考え方してんだこいつ、化け物かとすら思う。
そう、そしてそいつを超えられない以上、俺は諦めなければならない・・・・高みに到達することを。だって、いくら自分が頑張っても、その上にそいつがいるから。しかもタチの悪いことに、差はどんどん広がっていくばかりだ。こちらが限界だと思っているスピードをはるか超えたスピードではしっている様を見ると、絶望にも似た気分になる。
かつて、俺も夢中になって取り組んでいたものがあった。俺、才能あるんじゃないか、最強じゃないかと思う時期もあった。夢中で階段を二足とびで飛ぶ勢いで上達していった。
しかし、求められるものが高くなっていき、苦しくなった。夢中で走っていたころの楽しさはどこへいった。俺はなぜ、こんなことをしているのか。はじめは夢中だった。ただ、今はもうわからない。俺は・・・・・・・・・・・と考え出し、まもなくやめた。
どこの世界でも、才気煥発の極みオーラを纏っている人はいるものである。俺は、どうすればいいんだと思うこともある。年上ならまだいい。同じラインでの勝負ではないし、引退後に俺の時代が来るかもしれないから。しかし、年下に勝てないと思わされると、もうだめだ。何がダメって、自分の向上心の源泉の柱を折られる。
もともと、負けず嫌いだし、負けを認めるのはキライだ。しかし現実から目を背けるのとはまた違う。そう、確かに俺はその方向性では№1にはなれないだろう。じゃあ、ほどほどで満足するのか。二番手に甘んじるのか。いや、それもいやだ。じゃあ、オンリーワンを目指すのか。それはアリだが、最終目標がそれもいやだ。じゃあどうするのだ。方向性を変えるしかない。自分だけがなれる№1の方向へ向かって。それは、誰も向かわないような方向へ行くのではなく、誰かと誰かの道の間を進むのだ。そうすると、周りからは目に付く。そうか、そういう方向性もあるのだなと気づかれる。後続のランナーも続く。
自分だけのスタンスを。お前はお前の、俺は俺の道をゆく。それは、自分にあった、ベストな選択であるはずだ。自分だけの道を進み、隣道には別のライバル達が走っていて、こちらをチラ見しつつ、互いに励ましあったりもする、そんな関係を築いていってこそ、俺は頑張れるんじゃないかと思う。