広大なインターネット世界

思えば、インターネットに触れて10年くらいは経つわけですが、インターネット上で新しいサービスが次々と生まれ、世界は広がっているのに、自分のもつインターネット世界は意外と、というかほとんど広がらない。
無論、時間がないからとか色々言い訳はできますが、時間があっても、自分でほとんど世界を広げようとしていない。広げる余裕がないし、きっかけをもてない。
もちろん、最初は成長期、サイトの開拓期はあった。一日中リンクを飛び回り、未知との遭遇を楽しんでいたものだ。だが、それは一過性のもので、常にそういうことをするわけではない。よさげなサイトは、お気に入りに入れているが・・・今の所・・ほとんど見ていないなあ。
人間には好みや居心地の良さというものがあり、結局、好きな所を中心に定着してしまう。薄く広くというよりは、狭く濃く情報や、常連として、交流によるコミュニケーションを味わうことをモットーとする人が多いわけだ。実際、一定以上薄くなると、一つのサイト、情報にかける時間が短すぎて、自分が「その記事を見た」「そして何かを学んだ」とまでいかないままに、スルーしてしまうかのような行動をとっているんじゃないか、と自分で疑心暗鬼にすらなってしまうのだ。「こんなに速読して、俺は果たして理解しているのか?意味があるのか?」
RSSリーダーで様々なサイトを効率よく見れるとはいえ、私は数百件のフィードですでに精一杯、というかそれですら未読が数万となり、見きれない。フィード数千件を登録している人はどういう使い方をしているのか、正直興味ある。次々と一瞬で切り替わっていく記事を読みきれるような動体視力を持っているのかしら。
実際、このはてな村を見渡してみても、なかなかに膨大なブログ数があり、全然把握できないのに、他にも同規模のユーザを抱え込んだ世界が別にあるわけですよ。そしてブログもまた一つのサービスのジャンルにすぎず、2chなどの世界、SNSの世界、ゲーム・動画・オークションの世界とか色々あるわけです。
さらにそれはあくまで日本の話であり、そこにアメリカや中国と言った、別の世界が存在する。これらは距離0の関係でつながっているにもかかわらず、様々な世界を知っている人はそれほど多くない。みんな、ユーザは自分の箱庭で遊んでいる。
はてな村のネットにおける規模を独断と偏見で概算すると、・・・・同程度の規模のブログサービスがだいたいx6(アメーバとかGooとかfc2などなど)あるとして・・・さらにブログサービスと同程度のジャンルが、x5(オンラインゲームやSNS2chなど)ほどあるとする。さらに日本と同程度の規模のサイト群が中国・米・欧州にあるとして、x4とする。とすると、1/6x5x4=1/120=0.0866・・%
はてな村という一つのブログサービスの中が、とても広い世界のように見えても、広大なインターネット世界の1%にも満たないわけである。(この計算はイメージを示したかっただけで、正確な数字では全然ありません)
そもそも、全て把握するサービスがあっても、人間の処理が追いつかない。人間の処理能力が限界なため、インターネット世界を把握しきれないと言うのは、ちょっと残念な話である。人間の脳を高速化するのは当面難しそうだし、ここはコンピュータやツールのサポート機能に頼るしかない。より楽に、より効率的に、自分にとって有用な、重要な情報から順に取りだしていけるようになれば、それが望ましい。RSSもかなり便利だが、まだまだ玉石混合な部分がある。
別に、世界を広げて何かしたいというわけでもないが、単純に、より広い世界を知りたいと言う知的好奇心と言ったらいいのか。いや、せっかく世界のどこかでおもしろいことをやっているかもしれないのに、それを知ることができない現状が残念、という気持ちのほうが素朴だな。
最終的なイメージとしては、人間自身が検索エンジンのように、全てを把握するような存在になること。それをどういう形で実現するのかはわからない。Web全体ををグラフィカルに俯瞰するサービスがあればいいなあとは思うが、その手段は今のところ難しそうだ。

全てを把握したいというのが、そもそもナンセンスなのかもしれない。自分でも正直、非現実的な事を言っていると思う。だが、世界征服や世界一周が人の夢にのぼることが多いように、インターネット世界において、ネット世界全体を把握したいと言う夢は、これからいつまでも見果てぬ夢としてあり続けるように思う。