ユーザとのコンタクトをとる位置

企業に何か言いたい時、まず私はWebのHPを訪ねる。そこで、メッセージを伝えられるツールはないかと探す。探す。探す。これがしかし・・・・なかなか見つからない。掲示板も、電話番号も、お問い合わせフォームや、メールアドレスでさえも。
なぜか。BtoCの企業は最近、CRMCGMなど、消費者のことを考えた、消費者に目を向けた戦略を高らかにうたいながら、実際の所は、ユーザの文句やクレームを受けるのはできるだけ避けたいからだ。
これは日本独特の感覚かどうか知らないが、客がもともと優位にあり、ごねて高飛車に出た方が利得が高いという感覚が根底にあるように思う。別に悪くなくても、お客様は神様なので、担当者はすいませんと謝らなければいけない(ひどいのも中にはいるらしいが)。クレームつけられる方はいいが、聞いて我慢している方はたまったものではないだろう。
2者間、多者間の距離をわずか数秒にして0にする電話やwebは、世の0.01%もいるかどうかわからないらしいクレーマーの存在を大きく際立たせる。
一例として、オンラインゲームのパンヤを挙げる。このゲームは、イベントとしてGM250人大会というものがある。GMは運営側の人間で、最大249人のゲームユーザとともにゲームを一緒に楽しむというわけだ。250人は共通チャット欄を持っており、ゲーム中にもチャットしてコミュニケーションを楽しむことができる。
ある時、一人のユーザがGMに不満を言った。GMはそれに答えた。しかし彼はおさまらず、不満を繰り返した。彼の不満は、ずっと249人のチャット欄に送信され続けた。これが「一人の不満な者が、多くのユーザに影響を及ぼす」一つの例だと思う。同じことは、ブログのエントリやニコニコ動画のコメント、何にでも言え得る。ブログのエントリだったら、web内をニュースサイトが取り上げたりエントリが連鎖したりで飛び火し、「反響」する。(方向性、内容によっては炎上)ニコニコ動画のコメントの場合は、この「反響」の性質を逆に利用している所もある。決してコメントそのものが有益・・とは言いづらいが、とにかく、勢いとPVだけが伸びまくる、そんな感じである。
正直な所、クレームや批判、ネガティブコメントなんか誰だって聞きたくない。聞くにしても最小限にしたい。どっちかというと、建設的な意見や提案、話題が聞きたい。
だが残念なことに、コメントを書くほどの衝動に駆られている人に限って、それはうれしさによってよりも、怒りや悔しさ、蔑みといったネガティブな感情から生まれてくるケースが多いように思う。はてなで言われている「ネガコメ」もこの部類に入るのだろう。
清濁併せ呑むということわざにもあるように、ユーザ向けの窓口をつくるからには、賞賛、批判、どちらの意見も公平に耳を傾けなければいけない。ほか、悪ふざけやいたずらに使われるケースもあるのだから、実際の所企業にとって有益な意見というのは何%なのだろうか。まぁ・・・半分も、なさそうだ。(1割すらあるのかという疑問も。荒しやいたずらほど、一人で数多くコメントを投げる、などの理由から)
でも、一つの緩衝材をおくなりなんなりしてでも、ユーザの声は聞く方が確かに有益だと思う。リアル生の声ってのはやはり大きい(んじゃないかと想像)。使っている人が作っている人にいつでも意見を言える状況。最高としか思えん。ちなみに緩衝材というのは、たとえば「私はA企業には関係ない人間だが、A企業とコンタクトが取れうる存在」仲介者みたいなものか。そういう人には、高飛車に出たって向こうはそっぽ向いてしまう自由があるだろうから、普通に話す。そうして、クレームや建設的な意見は、平和裏に処理されていくわけだ。
・・・というふうにいけば理想なんですけどね。世の中には同じく少ない割合だがキ(ryやひねくれ者もいるものでして、手を焼いたりする。ユーザの意見を聞く役割の人ってのは・・・しんどそうだ、実に。
まぁ、たとえまじめに見ないにしても、意見を送れるようなチャンネルはどこかにわずかにでも残しておくべきだ!何のためにWebでつながっているのかがわからない。コミュニケーションをとらずして、Webを発信メディアとしか捉えない企業は、動きが遅くなるね、絶対に!実時間の7倍の早さで動いているともいわれるWebでは、その速度差が致命的な差となり得る。そう、これからは速さの時代さ。ラディカルッグッドスピィィィィード!